• 検索結果がありません。

国際公会計基準と米国の公会計基準の現状に関する調査 特別研究官 | 会計検査に関する調査研究 | 外部との交流活動 | 会計検査院 Board of Audit of Japan

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "国際公会計基準と米国の公会計基準の現状に関する調査 特別研究官 | 会計検査に関する調査研究 | 外部との交流活動 | 会計検査院 Board of Audit of Japan"

Copied!
91
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

平成21年度海外行政実態調査報告書

国際公会計基準と米国の公会計基準の現状に関する調査

−Survey on Development of International Public Sector Accounting Standards and Governmental Accounting Standards in the United States−

特別研究官

川村

義則(早稲田大学商学学術院教授)

調査課

副長

青木

孝浩

(2)

1. はじめに……… 01 2. 国際公会計基準(IPSAS)の現状……… 03

2.1 国際公会計基準審議会(IPSASB)の概要……… 03 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)

目的………. デュープロセス……….

IPSASB理事……….. オブザーバー……….

IPSASB諮問グループ………..

IPSASの範囲………. 発生主義IPSASと現金主義IPSAS………

IPSASの権威………. 言語……….

03 03 04 04 04 04 05 05 06

2.2 国際公会計基準審議会(IPSASB)テクニカルディレクターへの

インタビュー調査………... 07 (1)

(2) (3) (4) (5)

IFACとIPSASBについて………

IPSASBが公開しているドキュメント………..

IPSASBの戦略………..

IPSASBの導入状況……….. 個別論点……….

07 08

09 12 16

2.3 国際公会計基準審議会(IPSASB)本部でのインタビュー調査……… 20 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)

IPSASの普及状況………

IPSASの開発体制………

IPSASBとIASB……… 公会計基準のコンバージェンスの意義………. 発生主義会計の利点………. 発生主義予算………. 個別論点………. 日本におけるIPSAS導入の必要性………

20 21 21 22 24 24 25 29

3. IPSASの普及状況……… 30

3.1 国際連合でのインタビュー調査………. 30 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)

UNSASの問題点………..

IPSAS導入の決定……… 適用可能性………. 業績報告書………. 情報システムの変更………. 世界食糧計画における導入事例………. 個別論点………. 発生主義の予算……….

IPSAS導入の現状………. 連結……….

(3)

3.2 世界銀行(World Bank)でのインタビュー調査……… 46 (1)

(2)

世界銀行とIPSAS………. 公会計を巡る問題……….

46 54

4. 米国における公会計基準を巡る議論……… 57

4.1 連邦会計基準諮問委員会(FASAB)でのインタビュー調査………. 57 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7)

FASABの概要………

FASABとIPSASB………. デュープロセス……….

IPSAS概念フレームワーク………. 金融商品………. 発生主義会計に基づく財務諸表の利用と予算………. 社会給付と長期持続可能性報告書……….

57 58 59 59 60 61 61

4.2 政府会計基準審議会(GASB)でのインタビュー調査……….. 64 (1) (2) (3) (4) (5) (6)

GASBの概要……….

GASBのIPSASBへの協力………. ハーモナイゼーション……….

GASBとIPSASBの基準………. 個別論点………. 研修……….

64 64 66 67 67 71

5. 国際公会計基準(IPSAS)を巡る論点の整理と今後の展望………. 72

5.1 IPSASを巡る論点の整理と分析………. 72 (1)

(2) (3) (4)

IPSASの設定環境……….

IPSASの設定主体と設定過程……….

IPSASの基本理念を巡る論点………. 公的主体の予算と財務報告……….

72

75 76 77

5.2 今後の展望 ― IPSASに対するわが国の対応………. 79 【資料1:現在公開されているIPSAS、IAS、SFFAS】……… 【資料2:GAO・財務省およびOMB間の連邦政府会計基準および連邦会計基準諮問

委員会に関する覚書】……… 【付録:調査日程】………

80

(4)

1.はじめに

現在、会計の世界では、国際的なコンバージェンスを巡って活発な議論が進められている。 企業会計では、2001年に、前身の国際会計基準委員会(International Accounting Standards Committee; IASC)を改組して国際会計基準審議会(International Accounting Standards Board; IASB) が 発 足 し 、 各 国 の 会 計 基 準 の コ ン バ ー ジ ェ ン ス ( 共 通 化 ) と 国 際 財 務 報 告 基 準 (International Financial Reporting Standards; IFRS)そのもののアドプション(採択)が進め られている。すでに、欧州各国をはじめとする多数の国が IFRS を国内企業の財務諸表の 作成に当たって準拠すべき基準として取り扱っている。最も先進的な会計基準を設定して きたといわれている米国においては、財務会計基準審議会(Financial Accounting Standards

Board; FASB)が IASB との間でコンバージェンスに向けた作業を進め、証券取引委員会

(Securities and Exchange Commission; SEC)が2015-16年を目途としてIFRSのアドプショ ンを進めるためのロードマップを設定したところである。日本も、企業会計基準委員会が IASBとのコンバージェンス作業を進めるとともに、IFRSをアドプションするためのロー ドマップが、企業会計審議会から2009年6月16日に「我が国における国際会計基準の取 扱いについて(中間報告)」として公表されたところである。

これに対して、公会計では、国際会計士連盟(International Federation of Accountants; IFAC) に 置 か れ て い る 国 際 公 会 計 基 準 審 議 会 (International Public Sector Accounting Standards Board; IPSASB)

1

によって、公的主体に適用される国際公会計基準(International Public Sector Accounting Standards; IPSAS)が開発されている。IPSASについては、現在、国際連合グル ープにおいてその導入が進められ、さらに世界銀行等の国際援助機関によって各国政府関 係機関に対するIPSASの導入が推進されている。

このようなIPSASを巡っては、以下のような論点に関心が向けられよう。

第一に、IPSASの基準設定主体であるIPSASBの動向そのものを知ることは極めて有意

義であろう。同時に、IPSASの利用者である国際連合、世界銀行等の国際機関等の動向を 知ることも合わせて有意義であろう。

第二に、企業の活動が国境の枠組みを超えて行われ、その資金調達も国境を越えて行わ れていることから、企業会計が国際的に共通化されていかなければならないことは自然で ある。その一方で、公的主体の活動の枠組みは多くの場合国内的なものにとどまっており、 そのような状況の中でも公会計の国際的コンバージェンスを進めていかなければならない のか検討することは有意義であろう。

第三に、現在、IPSASB は、IPSAS のほかにも、公会計のための概念フレームワークの 開発を進めており、基準レベルだけでなく概念レベルでも企業会計を範とする基本方針を 明確にしている。概念フレームワークが確立すれば、今後中長期的な公会計基準の方向性 がある程度固まってくると考えられることから、現在における概念フレームワークの開発 作業の現場について調査することにも意義があろう。

第四に、米国の公会計基準設定主体である連邦会計基準諮問委員会(Federal Accounting

1 IPSASB

(5)

Standards Advisory Board; FASAB) お よ び 公 会 計 基 準 審 議 会 (Governmental Accounting

Standards Board; GASB)も、それぞれ長い公会計設定の歴史を有している。米国において

は、連邦政府および地方政府に対して別個の会計基準を設定するとともに、それぞれ企業 会計基準の設定とは異なる基準を設定する基本方針が維持されてきており、米国の公会計 基準は、企業会計基準とは異なる発展を遂げている。このため、公会計基準に対する米国

FASAB および GASB の考え方を知ることと、さらに公会計の国際的コンバージェンスに

対する取組方針を調査することも有益であろう。とくに、わが国の公会計設定に携わる関 係機関が今後どのような方針をもって公会計の国際的コンバージェンスに対処していくべ きかを考える上では示唆に富む情報を入手することが可能であると考える。

以上のような観点から、筆者2名は、2009年8月に「国際公会計基準と米国の公会計基 準の現状に関する調査」を実施した。本調査では、IPSASB、FASAB、GASBといった公会 計基準の設定主体に対して訪問による聞き取り調査を行うとともに、IPSASと関係の深い 国際連合、世界銀行等の国際機関に対しても、各国政府関係機関における国際公会計基準 の導入状況に関する聞き取り調査、さらには当該国際機関自体のIPSASの導入状況に関す る聞き取り調査を実施した。

(6)

2.国際公会計基準(

IPSAS

)の現状

2.1

国際公会計基準審議会(

IPSASB

)の概要

IPSASB は、国際会計士連盟によって指定および運営が行われている独立の会計基準設

定機関であり、国際公会計基準(IPSAS)の開発および公開を行う権限を有している。 本節では、IPSASBが公表している「国際公会計基準の趣意書」(Preface to International Public Sector Accounting Standards, January 2007)とFact Sheetなどの資料から、IPSASBの 概要について述べる。訪問調査の内容については、2.2において詳しく述べることにする。

(1)目的

IPSASB の目的は、世界中の公的主体が一般目的財務諸表を作成するに際して利用する

高品質の会計基準を開発することによって、公益に資することである。この目的は、公的 主体の財務報告の品質と透明性を向上させ、公的主体の財政運営における市民の信頼を強 化する。このような目的を達成する過程において、IPSASB は、公的主体の会計に関する 国内基準と国際基準のコンバージェンスおよび必要に応じ財務報告の会計的基礎と統計的 基礎のコンバージェンスを支持している。

IPSASB は、IPSAS の公表以外にも、公的主体の財務報告を巡る特定の問題について研

究報告(studies)、調査報告書(research reports)、その他のペーパーを公表することがある。

(2)デュープロセス

IPSASBは、すべての国際公会計基準(IPSAS)の開発に際して、厳格で透明なデュープ

ロセス(正規の手続)に準拠している。この手続は、IPSASによって直接的に影響を受け る作成者および利用者のみならず、公的主体の財務報告に関心を有するすべての者にとっ て、彼らの意見をIPSASBの知るところとし、彼らの意見が基準開発の過程において考慮 されることを確保する機会を与えるものである。デュープロセスは、以下のように要約さ れる。

z パブリックコメントのための公開――すべてのIPSASの公開草案(exposure draft)は、 タスクフォース(task force)またはプロジェクトアドバイザリーパネル(project advisory

panel)からの知見を反映させながら、起草される。場合によっては、タスクフォース

その他の執筆者によって起草されるインフォメーションペーパー(information paper) またはコンサルテーションペーパー(consultation paper)の公表が先行することもある。 すべての公開草案および関連資料は、IFACのウェブサイトのIPSASBセクションにお いて無料でダウンロードできる。公開期間は、通常、4か月以上である。

z 公開草案に対して寄せられたコメントの検討――公開の手続の結果受け取ったコメン

トは、IPSASBによって検討され、必要に応じて公開草案が修正される。コメントは、

IPSASB のウェブサイトにおいて公開される。公開草案後の修正が IPSASB によって

(7)

z 承認――公開草案、再公開草案およびIPSASの承認のためには、委員の3分の2以上 の賛成投票が行われなければならない。各委員は、1票を有する。

(3)IPSASB委員

IPSASB は、公的主体の財務報告について経験と専門能力を有する、世界中から選ばれ

た18名の委員によって構成される。委員には、財政当局、政府機関の監査機関からの実務 家、会計士、および公益代表(会計専門職である必要はない)が含まれる。18名のうち15 名はIFAC加盟団体から任命された者であり、3名は公益代表である。委員の任命は、IFAC 指名委員会からの推薦に基づいて、IFAC理事会によって行われる。

IPSASB委員会は、最低 12名の委員の出席を要する。IPSASB委員会は、IPSASその他

のペーパーの発行の承認について審議を行い、議事は公開される。議事資料、議事録は、 ウェブサイトにおいて公開されている。

(4)オブザーバー

IPSASBのオブザーバーには、アジア開発銀行(the Asian Development Bank)、欧州委員 会 (the European Commission)、 欧 州 委 員 会 統 計 局 (Eurostat)、 国 際 会 計 基 準 審 議 会 (International Accounting Standards Board)、国際通貨基金(International Monetary Fund)、最 高会計検査機関国際組織(International Organization of Supreme Audit Institutions)、経済協力 開 発 機 構 (Organisation for Economic Co-operation and Development)、 国 際 連 合 (United Nations)、国連開発計画(United Nations Development Programme)、および世界銀行(World Bank)が含まれる。オブザーバーは、IPSASB 委員会に出席し、委員会において、公開草

案またはIPSASの公表に際しての投票権を有しないことを除き、すべての権利が与えられ

ている。

(5)IPSASB諮問グループ

IPSASB諮問グループ(IPSASB Consultative Group)には、公的主体の財務諸表の作成者、 監査人および利用者、政府、国際機関、学界、およびその他の公的主体の財務報告に関す る高品質な国際基準の開発に関心のある者の代表が含まれている。諮問グループは、活発 な助言を通じて、IPSASB に対して、議題、プロジェクトの進捗、プロジェクトの優先順 位その他の特定の専門的プロジェクトに関する有益な専門的または公益的な意見を提供し ている。

(6)IPSASの範囲

IPSASBは、発生主義会計のためのIPSASと現金主義会計のためのIPSASを開発してい

る。IPSASは、一般目的財務諸表に反映される取引および事象に係る認識、測定、表示お

(8)

地方政府(local governments; 例えば、市、町)およびそれらを構成する主体(例えば、部、 庁、委員会、委員会)が含まれる。IPSASは、公企業(Government Business Enterprises; GBEs) には適用されない。公企業には、IFRSが適用される。

一般目的財務諸表とは、自らの特定の情報ニーズを満たすために必要な財務情報を要求 することができない利用者に対して公表される財務諸表である。このような利用者には、 市民、有権者、彼らの代表者およびその他の公益代表が含まれる。財務諸表という用語に は、一般目的財務諸表の一部として識別されるすべての財務表およびそれを説明する資料 が含まれる。

発生主義会計の下では、財務諸表には、財政状態報告書、財務業績報告書、キャッシュ・ フロー計算書および純資産変動計算書が含まれる。現金主義会計の下では、主たる財務表 は、現金収支計算書である。

(7)発生主義IPSASと現金主義IPSAS

IPSASBが開発する発生主義IPSASは、適当と認められる場合にはIASBが公表するIFRS を公的部門にも採用することによって、IFRSとのコンバージェンスが図られたものである。 そのために、IPSASBは、離脱を正当化するような重要な公的部門特有の問題がない限り、 IFRS の会計処理とその原文を維持するよう努力している。また、発生主義 IPSAS は、現 行のIFRSによって包括的に取り扱われていない、あるいはIFRSが開発されていない領域 の公的部門の財務報告問題についても取り扱っている。

他方において、IPSASBは、包括的な現金主義IPSASも公表している。現金主義IPSAS では、公的主体に対して、発生主義に基づく情報を自主的に開示することを推奨している。

また、IPSASBは、移行措置を定めて、発生主義IPSASの遵守を促進するように配慮して

いる。公的主体は、任意の時点でIPSASに準拠して発生主義会計を採用することができる。 その時点で、当該主体は、すべての発生主義IPSASを適用しなければならないが、個々の

発生主義IPSASの移行措置の適用を選択することもできる。

(8)IPSASの権威

それぞれの法域(jurisdiction)において、公的主体の一般目的財務諸表が規制されてい る。これらの規制は、法令による場合もあれば、財務報告指令および命令、並びに政府、 規制当局、会計職業団体等が定める会計基準による場合もある。

IPSASB は、IPSAS の採用が、IPSAS への準拠の開示とともに、公的主体の一般目的財

務諸表の質を著しく向上させることになると信じている。このことが、ひいては、政府に よる資源配分についてよりよい情報に基づいた評価を可能とするであろうし、それが透明 性と説明責任の向上につながるであろう。

IPSASB は、政府および各国基準設定主体が、当該法域における会計基準と財務報告指

針を設定する権限を有していることを理解している。いくつかの国家政府および国内基準 設定主体がすでに、当該法域における政府および公的主体に適用される会計基準を開発し

(9)

を改定する際に彼らを支援することによって、比較可能性の向上に資する場合もあろう。

IPSASは、政府および公的主体の会計基準を開発していない法域に対しては、大いに活用

される可能性がある。IPSASBは、IPSASの採用および国内規制のIPSASとのハーモナイ ゼーションを強く推奨している。

IPSASB も会計専門職も、単独では、IPSAS の遵守を要求する権限を有していない。

IPSASB の努力が成功するか否かは、自らの法域に限定された中で行動する多くの多様な

利害関係者からの努力に対する認識と支援に依存している。

(9)言語

(10)

2.2

国際公会計基準審議会(

IPSASB

)テクニカルディレクターへのインタビ

ュー調査

【主なインタビューの相手方:ステファニー・フォックス(Stephenie R. Fox)氏の経歴】

フォックス氏は、1993年から2005年までカナダ勅許会計士協会の公会計基準委員会(Public

Sector Accounting Standards Board of the Canadian Institute of Chartered Accountants)に従事

し、2006年9月からIPSASBのテクニカルディレクター(Technical Director)としてIPSASB

の開発に従事している。また、カナダ公共説明責任委員会で監査基準の審査にも携わったり、1996

年から2000年までヨーク大学の会計学担当の非常勤講師を務めたりしている。

(1)IFACとIPSASBについて

IFACは、日本を含めた123カ国からの157の会計士の組織、団体で構成されている。IFAC が設定する基準は、公会計基準に加えて監査、教育、倫理に関するものが含まれている。

IPSASBは、国際公会計基準(IPSAS)を設定するためにIFACに設置された審議会であ

り、IPSASBの委員は18人で構成されている。ただし、2010年1月現在17人である。委

員のうち15人はIFAC加盟団体から参加している。残りの3人は公益委員で、自薦、他薦 で加盟を希望したり、IFACに参加していない組織から参加したりすることも可能である。 委員は、様々な国の出身者であり、様々なバックグラウンド、経験を持っている。

IPSASBの委員】

Chair

• Mike Hathorn, Partner Moore Stephens, UK

Deputy Chair:

• Erna Swart, CEO, Accounting Standards Board, South Africa

Members:

• Peter Batten, Assistant Director, Treasury & Finance, Victoria, Australia • David Bean, Director of Research and Technical Accounting, GASB, USA • Marie-Pierre Cordier, Cours des Comptes, France

• Yossi Izkovich, Chief Accountant, Ministry of Finance, Israel

• Dr. Hong Lou, Deputy Director-General, Treasury Dept., Ministry of Finance,

Peoples Republic of China

• Thomas Müller-Marqués Berger, Ernst & Young, Germany • Anne Owuor, Kenya Power & Lighting Co. Ltd

• Bharti Prasad, Deputy Comptroller and Auditor General, Delhi, India

•Ron Salole, Vice-President, Standards, Canadian Institute of Chartered

Accountants

• Tadashi Sekikawa, Deloitte Touche Tohmatsu, Japan

• Frans van Schaik, Deloitte Touche Tohmatsu, The Netherlands • Ken Warren, The Treasury, New Zealand

Public Members:

• Prof. Andreas Bergmann, Zurich University of Applied Sciences, Switzerland • Sheila Fraser, Auditor General, Government of Canada

• Prof. Stefano Pozzoli, Italy

(11)

多くの委員は、各国の基準設定者である。例えば、カナダの委員は基準設定者であるカ ナダ勅許会計士協会(Canadian Institute of Chartered Accountants; CICA)から参加している。 また、米国からは、GASB のリサーチディレクターが委員として参加している。財務省や 会計検査院などの行政機関から参加している委員や、デロイトトウシュトーマツのような 公認会計事務所から参加している委員がいるし、大学教授も委員として参加している。こ こで、重要なことは、たとえ行政機関から参加していても、あくまで個人として参加して いて出身機関を代表して参加しているわけではないということである。

IPSASBは、通常、年3回の会議を開いているが、2009年は課題が多いので4回開いて

いる。この会議は一般に公開されており、誰でも傍聴することができ、その議事録や資料 はウェブ上で公開されている。IPSASB には、委員のほかに、カナダ政府、スイス政府、 ニュージーランド政府、国際通貨基金(IMF)、最高会計検査機関国際組織(INTOSAI)が オブザーバーとして参加している。また、IPSASB は、カナダ政府、スイス政府、ニュー ジーランド政府、世界銀行、アジア開発銀行から補助金を受けている。

IPSASB のミッションは、世界中の公的機関もしくは公的部門が利用できるような公会

計基準(IPSAS)を設定することである。そのために、IPSASBでは、個別基準(IPSAS)

を設定するほか、公的部門の財務報告の参考となるような資料を公表したり、IPSASの普 及活動をしたり、基準のコンバージェンスの活動をしている。

(2)IPSASBが公開しているドキュメント

現地調査の時点では、IPSASB は、26の個別の会計基準、現金主義会計の基準、7 つの 公開草案(Exposure Draft)、14の研究報告(study)を公開していた。IPSASBでは、まず

基準(IPSAS)を設定し、その後、関連した資料やガイドラインを作成することとしてい

る。また、IPSASBでは、世界中でIPSASの普及活動もしている。現在、26の基準が設定 されており、IPSASBでは既にこの基準をフランス語とスペイン語に翻訳している。また、 国によっては自国で翻訳をしている国もある。この26の個別基準は発生主義会計であるが、 公的部門固有の現金主義会計に基づいた基準も設定している。現金主義会計は、民間部門 ではあまり見られないが、多くの国では、たとえ現金主義会計の基準であっても、それを 導入しただけで状況が改善されるという現状がある。ただし、IPSASB では、発生主義会 計を勧めており、例えば、まず現金主義会計の基準を導入した後、次の段階として発生主 義会計の基準に移行するということもでもよいとしている。

7つの公開草案(Exposure drafts)に関しては、現地調査の時点でIPSASBは、金融商品 に関するものを含めて7つ公開しており、その後、それらのうち3つは2010年1月に個別 基準として公表された

2

。また、地方政府、各国政府に有用な事例を紹介した 14の研究報 告を公開しており、そのなかには古いものも含まれるが、重要なものとしては、現金主義 会計から発生主義会計へ移行する際のガイドラインがある。IPSASB では、現在、内容を 更新する作業を進めている。重要なことは、全体として、IPSASが、公的部門の会計主体

2

IPSAS 28:Financial Instruments: Presentation

(12)

による財務報告の最善な実務(best practice)であることとしている。

IPSASB としては、IPSAS を導入することにより財務報告の会計責任や透明性が増して

いくことを期待している。特に、今日この非常に厳しい経済危機の状況の中で、多くの行 政機関、政府が、民間の企業に公的資金を注入して、それにより政府の負債も増えている 状況の中ではこういう動きは非常に重要だと思われる。しかし、ここで、注意しなければ ならないのは、IPSASB の現在の関心は、政府の財務諸表であって政府の予算ではないこ とである。

(3)IPSASBの戦略

IPSASB は2007-2009 年の戦略運営計画

3

を策定しており、これによればIPSASB では4 つの戦略テーマを掲げている。これらを1つずつ紹介することとする。

・公的部門の概念フレームワーク ・IFRSとのコンバージェンス ・公的部門特有のプロジェクト

・IPSASの導入と国際的なコンバージェンスを促進するための普及活動および支援活動

(ア)概念フレームワーク

概念フレームワークは、基準の開発に非常に重要である。例えば、資産に関しての「課 税権」や負債に関しての「社会給付(social benefit)」などの公的部門で議論され続けてい る事項に対して解答を与える必要がある。概念フレームワークの開発に関して重要なのは、 公的部門の特徴を考慮した上で、公的部門に適合した概念フレームワークを開発すること である。また、IPSASBとIASBとは、非常に密接な関係で作業を進めているが、概念フレ ームワークの開発はコンバージェンスプロジェクトではないので、IASB のスケジュール に合わせる必要性はないとしている。ただし、IASB の動向については、慎重に見守って おり、今後公的部門と民間部門とで共通点があれば、その時にはそれを反映させる方向で 進めるだろうとしている。

概念フレームワークは、4つのフェーズに分けて開発している。第1フェーズでは、① 「財務報告の適用範囲(scope)」、②「一般目的財務報告(general purpose financial reporting; GPFR)の目的と利用者」、③「報告主体」、④「一般目的財務報告に含まれる情報の質的特 性」について討議している。第1フェーズのコンサルテーションペーパー「公的部門の主 体による一般目的財務報告の概念フレームワーク」は、2008年9月に公表され、調査時点 では、このコンサルテーションペーパーに対して55通の回答が寄せられて、その整理をし ている段階であった。これらの回答は、公開草案に反映させることとなる。公的部門と民 間部門は、その目的が大きく異なるため、両セクターの財務報告の目的とその利用者も異 なる。他方、一般目的財務報告に含まれる情報の質的特性は、多少の相違点はあるが民間 部門と大きく異ならない。

(13)

第2フェーズでは、「財務諸表の構成要素に関する定義と認識」について討議するもので 既に開始している。このフェーズでは、例えば、資産とは何か、負債とは何か、それらを どのように定義するべきなのか、などについて討議することとなり、多くの疑問が出てき ていて、それらをどのように公的部門に反映させるべきか議論している。例えば、政府が 課税をする権利は政府の資産なのかどうか、負債に関しては、社会福祉の一部である高齢 者への福祉や長期間にわたる年金は政府の負債なのか、それとも政府が年金政策を変更す ることが可能なので年金は継続して実施している行政政策の1つであり、財務報告に負債 として計上する必要はないのか議論している。米国の場合、年金を負債として財務報告に 計上した場合は、国が破産した状態になってしまう。このように、第2フェーズは、課題 が多く非常に興味深いプロジェクトであるが、スケジュールは遅れ気味で、2010年の初め にコンサルテーションペーパーを公表する予定である。

第3フェーズは「財務報告の構成要素に適用される測定の基礎」について討議するもの で既に開始している。このフェーズでは、測定と表示を議論し、2010年中にコンサルテー ションペーパーを発行したいと考えている。

そして、各フェーズのすべてのコンサルテーションペーパーの結果を整理して1つの公 開草案を発行する予定である。

(イ)公的部門特有のプロジェクトを踏まえたIFRSとのコンバージェンス

IPSASはIFRSに基づいているが、IFRSとのコンバージェンスに関してかなり大きなプ

ロジェクトを実施している。現在のIPSASにはまだ設定されていない空白の部分があるの で、もっと多くの個別の基準を設定して空白部分を埋めていくこととしている。2008年12 月31日までに発行された主なIFRSの基準に対応するIPSASの基準を2009年中に発行し たいと考えていた。そのなかには、主な個別基準が5つあり、うち、3つは金融商品に関 する基準であり、そのほかは、無形資産と主体の結合(entity combinations)に関する基準 である。この5つの基準を2009年中に完成させれば、IPSASは完成度が高いものとなる

4

。 公的部門には非常に特徴的な部分がある一方で、民間部門と類似していたり同じであっ たりする部分も非常に多くあり、そのような場合には、財務諸表においても民間部門と同 じように扱うべきであると考えられるという。そして、このセクター中立という考え方に

沿ってIPSASの開発は進められている。また、IASBでは、もうかなり作業を進めており、

民間部門と類似した部分についてIPSASBで同じ作業を進めても同じ結論になるような場 合は、民間部門の基準に基づいて個別基準を開発したほうが効率的である。

現在、IPSASB は、IASB と密接な関係にあり、IASBのほとんどの会議に出席したり、

IASBからもIPSASBのほとんどの会議にオブザーバーとして出席したりしている。また、

IPSASBの3人の委員がIASBの委員と年に2、3回会合を開いている。

4

(14)

IFRSとのコンバージェンス】

(出典)現地収集資料より引用。

IFRS とのコンバージェンスプロジェクトは次のような手順で行われる。まず、IFRS を 分析して、公的部門独自の領域がないか特定する。仮にある1 つのIFRSの基準のほとん どの部分が公的部門に適合するとしても、公的部門により適合するようIPSASの個々の事 項を変更したり、公的部門に特有な用語に変更したりしている。また、参考として取り上 げる事例についても、公的部門のものに差し替える。公的部門に特有なプロジェクトとし て、2つ取り上げると、1つは社会保障(social benefits)であり、これについて2009年9 月の会議の議題となっている。また、財政の長期持続可能性に関するコンサルテーション ペーパーについても検討したいとしていたが、これは2009年11月に公表された。社会保 障についてどのように財務報告に表示すべきか、負債でないならばどのような情報を報告 すべきか、注記にしたり他の報告書を発行したりすべきかなどについて検討したいとして いる。

民間部門におけるコンバージェンスと公的部門におけるコンバージェンスは、いろいろ な意味でかなりその動向が異なっている。その主な理由の1つは、政府の実際の財務報告 が各国間で非常に異なっているからである。そして、多くの国で政府の財務諸表すら作成 していない状況においては、IPSASへのコンバージェンスを議論することは困難である。 また、カナダのように既に完全な発生主義会計を導入して5年以上無限定適正意見を得て いる国もあり、カナダのように企業会計に近い会計を公会計に導入している国と他の国を 比較するのは非常に困難である。

また、ドイツについてみると、未だに現金主義会計であるため、比較したりコンバージ ェンスを推奨したりするのは非常に困難であるが、もしかすると、このような状況にある からこそコンバージェンスが役立つかもしれないとしている。IPSASB としては、コンバ ージェンスよりむしろ、政府が会計基準を導入する必要性に着目している。より多くの政 府が会計基準を導入しなければ、コンバージェンスの必要性について議論する状況にはな らない。

IFRS

(民間部門)

IPSASs

(公共部門)

・用語

(15)

世界の多くの国では、公的部門の会計基準を設定していない。基準設定主体が民間部門 の基準のみを設定していることもある。そして、政府の会計基準がしばしば政府によって 設定されることもある。そうするとそれらの基準は政府から独立した会計基準ではない。 そこで、公的部門の会計基準を開発しようと考えている国、特に、発展途上国や新興国に とっては、独自の公会計基準を開発するために多くの時間と資源を使うよりもIPSASの導 入について検討する価値がある。また、現実問題として、多くの発展途上国や新興国にと っては、民間部門よりも公的部門のほうが経済的には重要である。このような状況から、 公的部門の会計基準について、基準間、国家間のコンバージェンスは、徐々に進んでいく と思われるとしている。

(ウ)IPSASBの今後の役割

IPSASB の役割は、IPSASの導入を促進することである。IPSASBでは、IASBとのコン

バージェンスについて率先して取り組むことは終わりつつある。基準というものは変わり 続けるものであるため、今後はIPSASの更新を重点的に行いつつ、概念フレームワークの 設定業務に勢力を傾けたい。そして、今後4年間は公的部門に関するプロジェクトを増や していきたい。IPSASBの目標の1つは、会議などに積極に参加してIPSASの導入を促進 することである。本来であれば、政府がIPSASを導入できるようもっと普及活動をしたい ところであるが、人員と資金が限られていて、これ以上はできないのが現状である。

(4)IPSASの導入状況

IPSASを導入している国、機関】

IPSASの現時点までの導入状況:

• 国連システム(28機関が遅くとも2010年までに導入予定)。国連食糧計 画(2008年に導入済み)を含む。

• OECD、NATO (21機関)、EC、IFAC、INTERPOL • スイス政府

• イスラエル政府 • 南アフリカ政府

• 70 カ国を超える国々がIPSASの導入またはIPSAS とのハーモナイゼー ションを進行中または計画中である。

• BRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)が導入を表明 (出典)現地収集資料より引用。

現在、IPSAS を導入している国際機関は、国際連合(2010 年までに国連システムの 28

機関)、EC、OECD、NATO、INTERPOLである。これらの機関では民間部門の基準よりも 適切であると理由でIPSASを導入した。

(16)

を導入すると合意したり、導入プロジェクトを実施したり、IPSASに沿った会計基準を導 入しようとしたりしている。例えば、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)も導入 すると表明している。しかし、導入しようと表明してから実際に導入するまでには時間が かかることもあり、実際には、多くの国では導入に向けた計画やロードマップを作成する こととなる。また、もう一つの大きな課題(challenge)は翻訳である。IPSAS は分量があ る の で 翻 訳 を 決 め た 国 に と っ て 、 そ れ は 決 し て 小 さ な 仕 事 で は な い に も か か わ ら ず 、

BRICs4か国では、かなりのIPSASの業務をしてきている。ブラジルでは、2014年を目途

にポルトガル語への翻訳作業に取りかかっている。また、ロシアでは、既にロシア語への 翻訳を完了しており、IPSASを導入しつつある。インドには、公会計基準を設定する審議 会(Government Accounting Standards Board)があり、インドの基準をIPSASに統合する作 業を開始している。中国でもIPSASの翻訳は完了している

5

IPSASBでは、現金主義の会計基準(IPSAS)を導入した国や地域は、どのような検討を

してそれを導入したのか、基準を導入して何か問題はなかったかについて情報を収集して いるが、現在、導入したことによる大きな問題は起こっていないと判断している。

(ア)IPSAS導入と会計に関する能力の欠如

政府の会計は、政府の規模が大きいほどセグメント別の会計となっていることがあるだ ろう。例えば、省庁別の会計、同じ省庁内の部門別会計などがあり得る。その場合、連結 した財務報告を作成する際に、内部取引を消去するなどしなければならない。国レベルの 大きな政府であれば連結財務報告を作成する十分な能力があるだろうが、小さな政府では そのような能力に欠けていることもあり得る。また現実に、公的部門の財務報告の中には、 内部取引を消去していない連結財務報告が存在している。

このようにIPSASを導入しようとする際の一つの大きな課題は、公的部門が会計に関す る専門知識や能力に欠けていて、職員に対する研修が必要となることである。特に発展途 上国ではそうした状況が見られ、いくつかの新興国にとってはこの会計に関する専門知識 や能力の欠如がIPSAS導入の障害となっている。そこで、IFACでは、IPSASの導入を促 進するために、発展途上国で能力開発のための活動をしているが、これは時間がかかる。 能力の欠如は、公会計基準だけでなく、監査基準など他の分野でも大きな問題である。 例えば、アフリカでは会計士の協会が、会計技術士(accounting technician)というCPAほ ど能力は要求しない新たな資格を設けて知識の普及に力を注いでいる。また、英国では、 組織の内部で能力開発をするよりも外部から専門家を採用した方が早いので、民間部門の 財務担当管理者(finance directors)を公的部門の上級ポストに採用して、会計システムの 改革に着手したりしている。

他方、IPSASの導入に関しては、会計士が仕事を得るために、監査法人がその導入を促

進していると疑念を持っている人々もいる。IPSAS導入の推進が監査法人ではなく専門家 からの声であれば状況は変わるかもしれないが、専門家も監査法人に属している。現在、 大きな監査法人はすでに公的部門でコンサルタント業務を請け負っていて、IPSASのコー

5

(17)

スを開発しようという提案も受けている。発生主義会計の導入を促進するためには、企業 はいろいろな点において有益であるが、それに疑いを持っている人もいるので、バランス が大事である。

(イ)導入の定義

IPSASの導入とは、本来IPSASのハンドブックの全体をそのまま導入することを意味す

べきである。しかしながら、各国がIPSASを導入する際に、各国の取り巻く状況に合うよ

うにIPSASを修正しなければならないこともあるし、また、各国が初めてIPSASを導入す

るときには、IPSASを部分的に導入することもある。厳密にいえば、全面導入がなされる までは実際に導入されたとは言えない。IPSASBとしては各国をサポートはするが、2段階 または3段階に分けて数年間かけて導入することもある。

例えば、イスラエルでは、初めにIPSAS1からIPSAS22を導入し、その旨を財務諸表に 明記し、後にIPSAS23からIPSAS26を導入するとしている。ブラジルでは、他の国と同様 に導入の段階を示したロードマップを作成している。バルバドスでは、初めにかなりの基 準を導入したが、IPSAS全体はかなり分量があるので、連結決算に関する基準は導入初年 度から2年後に導入する予定である。このように、IPSASの導入と言っても、すべての基 準を一斉に導入するのではなく段階的に導入するのが、失敗を避けつつ導入するためには より現実的で一般的なアプローチであろう。例外的に一度にすべての基準を導入した国と してはスイスがあるが、適正意見を付した監査報告書は得られなかった。

このように、導入に関しては、基準の一部の導入か、全部の導入かという課題があり、 さらに、基準導入後の運用面に関しては監査に関して無限定適正意見が得られるかという 課題もある。ニュージーランド政府は発生主義会計を導入してから10年以上経っていて、 個別の監査基準もあり、適正意見を付した監査報告書も得ている。また、カナダ、ニュー ジーランド、オーストラリア、UK、USの英語圏諸国などでも、発生主義会計が公的部門 に導入されており、監査基準もある。しかしながら、例えば米国は、IPSASではないが発 生主義会計を導入しているが 10 年を経過して未だ無限定適正意見を得たことがないとい う。

(ウ)独立性、IPSAS開発過程での外圧

IPSASB の活動が重要になればなるほど、IPSAS を開発する過程において各国政府から

(18)

ことである。金融商品に関する個別基準に関しては、もしIPSAS に個別基準がなければ、 IASBのIFRSを適用するか、自国の基準を適用することになってしまうので、プレッシャ ーを受けてもより公的部門に適応した金融商品に関する個別基準を開発すべきであろう。

(エ)導入の必要性

民間部門の場合には、個々の企業は、同じ会計基準を導入しないと取引ができないとか 投資が受けられないということで会計基準を導入しなければいけないというプレッシャー を受けるが、政府の場合にはそのようなプレッシャーは受けないと思われる。発生主義会 計をいち早く導入したニュージーランドでは、財政危機を発端として15年ほど前に政府の 財政をコントロールするために、発生主義会計でITシステムを構築して、現金主義会計か ら発生主義会計へ移行した。その当時は、発生主義会計の会計基準は民間部門の会計基準 しかなかったのでそれを導入した。ニュージーランドでは、6月30日に会計年度が終了し 原則として約3か月後の10月の第一週に政府全体の財務諸表が公表される。これは政治的 な力によるもので、政治家が決断して法制化することが必要であった。

また、カナダでも、発生主義会計を導入する契機となったのは政府の財政危機であった という。カナダで1981年に公共部門委員会が開設された当時、カナダの公会計は、現金主 義会計であり、政府による本当の意味での会計基準は設定されていなかった。連邦内の10 の州がそれぞれ州内の地方政府を統制していて、同じ州内の地方政府はしばしば同じ会計 基準を使っていたので、カナダ全土では10種類の会計基準があって、その他に連邦政府の 会計基準があるという状況であったので、それらは一貫性も無く財務諸表を比較すること も出来なかった。しかし、1980年代の終わりから 1990年代の初めにかけて財政危機が発 生して、政府支出の 30%が公債費に充てられる状況となった。そのような状況において、 国民の間に発生主義会計への関心が集まり、民間部門にとって良いのであれば公的部門に とっても良いはずだと考えられるようになった。現金主義会計では、公的部門が年金や給 付金を支給する約束をしても、将来の負担を財務諸表に負債として計上する必要がないた め、毎年度の支給額を費用として計上するだけで容易にそれらを支給できることに人々が 気付き始めた。しかし、財務諸表に計上しないからといって将来支給しなければならない。 そして、カナダにおいても、ニュージーランドと同様に財政の管理には発生主義会計が 必要で、それらを記録することによってのみ、公的部門の財政は管理されるようになると 考えられる。そして、多くの公的部門の多くの労働組合は年金が財務諸表に計上されるこ とを望まなかったが、カナダで政権交代により新しい政権が誕生していろいろな変化が起 きたなかで、発生主義会計が公的部門に取り入れられ、2004年頃から完全に発生主義とな っている。そして、発生主義会計について最後まで会計処理の対象とならなかったものが 資本資産であった。それらを記録してこなかった人たちにとっては非常に大きな議論を呼 んだが、政権が代わって環境が変わり資本資産は資産として計上され減価償却されるよう になった。また、比較的最近になってようやく、地方自治体にも会計基準が導入されるよ うになった。そして、ほとんどは適正意見を得ている。

(19)

に州政府の政権が代わり、監査済みの財務諸表を3か月以内に提出するように州法を改正 した。したがって、3月31日に年度が終了し6月30日までには財務諸表に監査意見を添 付して議会に提出しなければならなくなった。そして、いくつかの州がそれを取り入れた が、州知事による政治的な決断が必要であった。

そして、このように財政危機に陥った国が発生主義会計を採用した。発生主義会計に移 行することは大変な作業であるが、発生主義会計を導入すれば、政府はより良い意思決定 をすることができるという。そして、発生主義会計に移行した経験から、一貫性のある国 際公会計基準を設定しようという発想が生まれてきたという。また、国際公会計基準があ れば、それを適用することによって、各国は自国の会計基準を開発するために長い時間を かける必要はない。

(オ)IMFとの共同作業部会

2009年5月に、IMFとIPSASBは共同作業部会を発足させた。この作業部会では、①経

済危機に対処するために講じた各国政府の政策の結果として取得した資産と債務を各国政 府はどのように会計処理しようとしているのか調査すること、②経済危機に対処するため に講じられた政府による様々な政策について既存の会計基準をどのように適用したか、改 善の余地はあるかについて調査すること、③報告および評価のアプローチについて議論す ることを目的としている。

具体的には、調査対象となった各国政府が、貸付、株式買取り、不良資産の買取り、不 良債権の保証など様々な援助をどのように財政報告に表示しているか調査することとして いる。その際には、政府が中央銀行などを通じて講じた施策についても調査対象とする。 そして、連結財務諸表を調査し、各国間の比較をすることとしている。

(5)個別論点

(ア)資産負債アプローチ

業績測定(measuring performance)に関しては、IPSASBでは、資産負債アプローチを採 用するか収益費用アプローチを採用するかはまだ決定しておらず、いろいろなアプローチ について議論する予定である。また、どのようなアプローチを採用するかは、資産、負債、

収益(revenue)、費用の定義にも左右され、現在のところは中立的であり何も決定してい

ない。今後、各アプローチのすべての長所および短所をリストアップすることとしている。 また、純資産(Net assets)が財務諸表の構成要素であることについては、現在も議論が 続いているが、純資産は、純額の概念であり、資産から負債を差し引いた差額、1 つの数 値である。これを1つの構成要素として定義すべきかどうかについては議論のあるところ である。他の基準設定においては、概念フレームワークで純資産を1つの構成要素として 定義しないものもある。

(20)

ず、賛否両論あるだろうが、繰延項目があれば、繰延流出(deferred outflows)、繰延流入

(deferred inflows)という項目を別途貸借対照表において記載することとなるだろう。

(イ)説明責任、非財務情報

コンサルテーションペーパーでは、説明責任(accountability)は財務報告の目的の 1 つ であると強調されているが、これは、財務諸表の個々の要素に反映されているというわけ ではない。予算に基づき課税して、その税収を予算に基づいてどのように使用したかを示 すことが説明責任を果たすことである。したがって、財務諸表の各要素を見るというより は財務諸表全体を見ることが大切である。また、IPSAS24において推奨しているように、 説明責任の1つは予算と実績額の対比を表示することである。

さらに言えば、公的部門の業績報告や長期持続性報告は、より大きな説明責任が求めら れる。ニュージーランドでは、例えば医療サービスに支出した金額だけでなく、業績報告 書において事業実績、サービスの質、適時性などについても報告する。従って、公的部門 における説明責任とは、単に数字だけでなく、ゴミ収集は月に一回か週に一回かなど、ど のようなサービスを提供したかの非財務的情報も含まれるだろう。この点に関し、IPSASB は、公的部門へのガイドラインの提供者であるが、公的部門の財務報告の利用者は、従来 型の財務報告以上のものを求めるようになってきている。つまり、市民は、あたかも株主 が投資からのリターンについて知りたがるように政府がいかにゴミを収集したかに関心を 持つようになっている。市民にとっては、公的部門の財務報告の真の価値はそのような情 報の中にある。しかし、当面は従来型の財務報告が必要であろう。

また、財務諸表は、政府を評価するためのすべての情報を含んでいるわけではなく、あ る時点での情報である。これに対して財政の長期持続可能性とは、長期間にわたる現金収 支の予測である。財政の長期持続可能性については英国が関心を示していて、IPSASB で はそのような情報を収集して国際的な議論の場に持ち込めれば良いと考えている。コンサ ルテーションペーパーでは、財政の長期持続可能性以外にもいろいろな国がどのようなこ とをしてきたか議論するつもりである。

概念フレームワークは長い期間をかけて開発されるものであり、現段階では財務諸表の 構成要素について起草しているところである。財政の長期持続可能性や非財務的情報以外 にも他の検討事項があるかどうかについてもまだ作業を開始していない。個々のプロジェ クトは、その作業の結果を概念フレームワークに反映させることができるように、概念フ レームワークができるまで3∼4年間待つことなく作業を進めることとしている。

(21)

IPSASの基準を設定するのにはおそらく時期尚早であろうとしている。

(ウ)財務諸表の表示

IASBでは、現在、財務諸表の表示(financial statement presentation)について作業を進め

ている。IPSASB としても、財務諸表の表示についてプロジェクトを開始する必要はある

だろう。はじめは、損益計算書(operating statement)に着目して、それがどうあるべきか、 どう変更すべきかなどについて検討するだろう。しかし、そのプロジェクトが開始できる のは2010年以降で、概念フレームワークの開発状況次第で開始は2011年以降にずれ込む こともあるだろう。

(エ)GASBの活動報告書

IPSASB としては、多くの国の基準設定者の動向を把握している。GASB の活動報告書

(statement of activities)では、公的部門における主体の活動を、政府活動と商業的活動に 区 分 し て お り 、 収 益 も 一 般 収 益 と 税 収 に 区 分 し て い る 。GASB は 、 世 代 間 衡 平 性 (inter-generational equity)について言及するなど概念フレームワークの観点からすると先 駆的である。しかし、IPSASB はある特定の基準設定者の考え方に偏ることはない。いず れにしても、GASBが公的部門の活動をカテゴリーにより区分していることも表示の問題 であろうが、現在、IPSASB は概念フレームワークの要素について作業をしている段階で あり、今後、測定について作業し、その後に表示について作業することになるだろう。し たがって、表示について作業するころには、どのようなアプローチがあるかについても議 論しているだろうから、仮にIPSASBが世代間衡平性を具体的に基準に取り込むとしても それは2、3年後のことであろうという。

(オ)課税権

現在、IPSASB では、課税権は無形資産の範疇ではないとしている。例えば、GASB で

は、「権利(right)」と「権力(power)」を区別して表現していたはずである。これは、資

産の定義の中で扱われることであろうが、現在のIPSASBの委員で課税権を資産であると 考えている人はいないだろう。要素に関するコンサルテーションペーパーが、2010年に出 されるが、課税権については資産の定義に関する議論の中で言及せざるを得ないだろう。 無形資産に関する公開草案の中では課税権は無形資産の範疇には含まれていない。

(カ)のれん

公開草案第41号「交換取引による主体結合」において、のれん(goodwill)について意

識(aware)している。まれに政府が企業を買収したときは、資産および負債に加えてのれ

(22)

収益事業を買収したときに、その事業からのれんが生じることを想定していないことであ る。連結の基準に関連して、こののれんに関するプロジェクトを2、3年内に開始しなけれ ばならない。

資本資産(capital asset)も含めて資産の減損が認識される限り、減損処理すべきである。

もし、事業が収益を上げていればのれんは減損処理する必要ないが、収益事業であるにも かかわらず収益を上げていないのであれば減損処理することとなる。問題は、公的部門が、 コミュニティサービスのように本来収益事業でない事業を保有して、その事業ののれんを 保有した場合、どのように減損を評価するかである。

(キ)民間企業の救済

昨今の金融危機に対応するため、英国では、Northern RockやRoyal Bank of Scotlandなど の銀行を救済したが、調査時点では、政府の財務諸表でどのような会計の取扱いをしたか については公開していない。このような会計は、賛否両論あるだろうが、政府が企業を救 済した場合には減損が認識されるだろうが、それは一種の補助金のようなものとなってし まう。カナダの公会計基準では、それは実質的に補助金なので金額が判明次第、償却する。 しかし、この点については、米国のAIGのように、救済された企業が政府に資金を返済す ることもあるから議論の余地はあり得る。いずれにしても、IPSASB では、この問題につ いてはどのような会計処理がされてきたか情報を収集している段階であり、各国で異なっ た処理がされているのかどうかも把握していない。また、この分野ではIPSASBはIMFの 作業グループと一緒に作業を進めている。

(ク)発生主義による財務諸表の活用

(23)

2.3

国際公会計基準審議会(

IPSASB

)本部でのインタビュー調査

【インタビューの相手方:マチュー・ボーム・アポンテ(Matthew Bohun-Aponte)氏の経歴】

マチュー氏は、IPSASBのテクニカルマネージャー(Technical Manager)で2000年の5月か

らIPSASの開発に従事している。

(1)IPSASの普及状況

IFAC のゴールは、誰もがIPSAS を基準として適用することである。したがって、各国

がIPSASを自国の状況に合わせて修正して適用したり、IPSASをベンチマークとして使用

することではない。しかしながら、IPSASB は各国政府に対する強制力は持っていないた め、世界中でいろいろなアプローチが見受けられる。

IPSASの普及状況についてみると、国際連合、EC、OECDおよびスイスでは、既にIPSAS

を適用している。OECDでは、2001年にIPSASを導入している。国際連合総会(the United Nations General Assembly)では、国連のすべての機関が、2006年にそれまでの国際連合の 会計基準であるUnited Nations System Accounting Standards(UNSAS)に代えてIPSASの導 入を決定しており、世界食糧計画(World Food Program; WFP)がIPSASに基づいた財務報 告を公表している。現在、他の国連機関はIPSASを導入するために作業を進めていて、2010 年 に IPSAS に 基 づ い た 財 務 諸 表 を 作 成 す る 予 定 と な っ て い る 。 ま た 、EC(European

Commission)では、既にIPSASに基づいた財務諸表を公表している。ECに新しく加盟し

た国の中には、IPSASを導入することを発表したり導入について検討したりしている国が ある一方で、オーストリア、ドイツ、フランスなどの従来からのEC 加盟国にはそれぞれ 独自の国の会計基準がある。フランスとドイツはIPSASとのハーモナイゼーションの作業を 進めていたり、英国では、IPSASとハーモナイゼーションした独自の会計基準を持っている。

ニュージーランドとオーストラリアは、公共部門用に修正されたIFRS(IFRS for the public sector) を適用している。彼らは、IPSASの一部を補足的に公共部門用のIFRSに取り入れている。

インドやインドネシアなど他の国では、国の会計基準をIPSASにハーモナイゼーション させている。ハーモナイゼーションさせている理由は、その国の立法権の仕組みによって 会計基準に関する権限を国際機関に託する(delegate)ことができないためである。米国の 場合には、IFRSの適用ですら、それを勧められても反対する政治家がいるだろう。しかし ながら、各国の会計基準の設定者が、自国の会計基準をIPSASとハーモナイゼーションさ せるようになれば、IPSASとハーモナイゼーションさせていない国の会計基準の設定者が 自国の会計基準の準拠性について考えたとき、IPSASへの準拠について検討しなければな らないだろう。IFAC としては、IPSAS への準拠(compliance)だけが準拠の問題である。

IPSASに関連するすべての条項を準拠させる場合、財務諸表の作成責任者またはそのグル

ープは、その財務諸表が準拠させようとしている会計基準に準拠しているかどうか判断し なければならない責任がある。

(24)

国家では、自国に都合が良い規則を作っていると批判されたくないので、国際基準を選ん で使用する傾向がある。自主規制というものは、規制がないようなものであるという見方 もある。

なお、インターネット上のウィキペディアのサイトには、各国におけるIPSASの普及状 況に関する情報が掲載されているが、それらの多くはIPSASBの関係者によって書き込ま れたものであるが必ずしも正確でなかったり誇張されていたりしている部分もある。

(2)IPSASの開発体制

IPSASの開発は単独で基準を設定しているわけではなく、各国の会計基準設定者から情

報を得たり定期的に会合を開いたりしている。日本を含め多くの IFAC の加盟団体は、各 国の会計基準設定者を国際基準の審議会に推薦している。例えば、現在の米国代表はGASB のリサーチディレクターであり、カナダ代表はカナダ勅許会計士協会(CICA)の副委員長

である。また、IPSASBでは特に公開草案に対する各国政府からの意見を歓迎しているし、

各国政府から非常に多くの意見が届いている。

IPSASB は、各国政府との協力体制を構築するというより各国の会計基準設定者との協

力体制を構築している。それでも、多くのIPSASBの委員は政府の職員であることから、 その委員を通じて国家政府から説明を受けることはある。また、IPSASB の会議をある場 所で開くときには、いつもその国家政府の幹部職員と会合を持つようにしており、2006年 3月に東京でIPSASBの会議が開催されたときにもそういう機会があったという。しかし、

IPSASB では、政府を対象としてプレゼンテーションをするという活動は考えたことはあ

っても実施はしていない。

近年、各国政府のなかには、IPSASのプロジェクトやその状況に興味を持ち始めている 政府もあるようで、資源を提供するという提案や、IFACの加盟団体となっている自国の公 認 会 計 士 協 会 に 接 近 し て 、 公 認 会 計 士 協 会 か ら 推 薦 さ れ た 人 を そ の 政 府 が 雇 い 入 れ て

IPSASB に派遣するという提案もある。そのような手続で IPSASB に参加すれば、その国

の政府ではなく公益を代表することとなるだろう。

また、IPSASの開発プロジェクトでは、開発中の個別基準に関して重大な利害の対立が

あれば、その利害が解決するまでプロジェクトを延期することもある。例えば、税収に関 するプロジェクトと政府の社会政策の義務に関するプロジェクトを同時に開始したことも ある。しかし、世界各国の政府の中には、財務報告の基準(financial reporting requirements) に関する提案は、適用不可能でありその情報は無関係で不要なものであると伝えてきた国 もあった。そこで、IPSASB としては、概念フレームワークで負債の定義に関する作業が 終了するまでそのプロジェクトを延期することを決定している。このように、IPSASの開 発は、各国の会計基準設定者や各国政府の意見を反映させつつ進めている。

(3)IPSASBとIASB

IFACでは、IPSASを公共部門に普及させる活動に加えて、ロンドンにあるIASBが発行

(25)

IASBが基準を発行するときは公共部門のことは考慮に入れていないし、IPSASBに相談 することもない。しかしながら、IASBとIPSASBは、連携していて年に3∼4回議長と他 の委員からなる委員会を開いて共通する事項について議論している。また、IFAC の役員 (executive director)が、IASBの基準諮問会議の委員になっている。そして、IPSASBでは、 IASB の作業プログラムをモニターしていて、必要に応じて IASB の公開草案(Exposure

Drafts)に対してコメントを返信している。ただし、IASBやIPSASBが公開草案を公開し

たときに互いにコメントを返信する義務はない。議論に貢献できると思われるときにお互 いの見解を出すこととなる。実際には、IPSASBは頻繁にIASBのコンサルテーションペー パーに対してコメントを出しているが、IASBからIPSASBに対してコメントが返信された ことはないとのことであった。

IASBでは、公共部門のことは考慮していないので、IPSASが公共部門の税金、社会保障、 他の機関への資金の移動(transfers to other entities)、民間部門への資金供与(grants)、中央 政府から地方政府への資金の供与などについて扱うことになる。その際、IPSASでは、公 共部門と民間部門で同じような取引が行われたときには同じように取り扱われるべきであ るというセクター中立という考え方に基づいている。例えば、東京都がトヨタ車を購入し ても東芝がトヨタ車を購入しても、それらはどちらも車を購入するという取引であり、そ れらの取引は独立した第三者から見た場合、同じような記録として見ることができるべき であると言う考え方である。

IFRSとIPSASとのハーモナイゼーションが、現在、95%ぐらい進んでいる。IASBが個

別基準を発行した場合、その取引や事象(events)が公共部門でも発生するものであれば、

IPSASBは同様の個別基準を発行していて、現在のIPSASBはIASBの取り扱いに準じたも

のにしようとする傾向が非常に強い。しかし、公共部門に独自の事情があってその理由も はっきりしている場合には、IFRS を変更して IPSAS の個別基準としている。最も異なる 領域は、非交換取引から生じた収益である税収である。また、資産の減損についても、公 共部門では資産がキャッシュインフローをもたらさないので多少異なったアプローチを取 っている。IPSASB では、キャッシュインフローをもたらすかどうかではなく、異なった 理由を減損の理由としている。

(4)公会計基準のコンバージェンスの意義

参照

関連したドキュメント

 「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号

 食品事業では、「収益認識に関する会計基準」等の適用に伴い、代理人として行われる取引について売上高を純

 工事請負契約に関して、従来、「工事契約に関する会計基準」(企業会計基準第15号 

収益認識会計基準等を適用したため、前連結会計年度の連結貸借対照表において、「流動資産」に表示してい

 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」とい

会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号

さらに, 会計監査人が独立の立場を保持し, かつ, 適正な監査を実施してい るかを監視及び検証するとともに,

を体現する世界市民の育成」の下、国連・国際機関職員、外交官、国際 NGO 職員等、